舞鶴市
「平区太刀振り」

勇ましさと美しさをあわせ持つ演舞「平区太刀振り」

近隣三区が平八幡神社に集い、悪霊の追い払い・五穀豊穣・無病息災祈願のため奉納する。その一つが平(たいら)区が行う太刀振り(ふりもん)です。2人1組で刀、棒、薙刀を持って切り込みを演じ、攻撃技と防御技の組み合わせで激しくわたりあいます。太鼓や笛の音に合わせ、豪快に太刀を振る姿はまさに圧巻。お祭りでは子どもも演じ、親から子へ脈々と受け継がれてきました。

舞鶴市「太刀振り」
―傷は誇りの証。
刀を手に激しくかっこよく舞う

細川幽斎が田辺籠城戦で活躍したことを記念して始まったといわれる、京都府北部・舞鶴市の太刀振り。市の北東部から中央にかけて位置する自然豊かな平地域にも、この伝統の芸能が受け継がれています。
平地域の太刀振りが放つ熱量は、単なる「歴史の継承」に留まりません。それは、二人の演者が火花を散らすほど激しく木刀を打ち合い、静寂を切り裂く笛太鼓の音とともに、己の魂をぶつけ合う真剣勝負。江戸時代から続くといわれるこの舞は、平の人々にとって、幼い頃から体に刻み込まれたアイデンティティそのものでした。
人口減少という時代の波に抗いながらも、「かっこよく舞う」という情熱を燃やし続け、世代を超えてバトンを繋いできた平地域の皆さん。彼らが守り抜く「激しさ」の裏側を伺いました。

江戸時代から響き続ける、
神様への雄々しい奉納

平地区の太刀振りは、2人1組で刀や棒、薙刀を構え、一騎討ちのように打ち合いながら舞う奉納の芸能です。動きは激しく、音も響きますが、その目的は相手を打ち負かすことではありません。そこには五穀豊穣や地域の人々の健康、そして一年を無事に過ごせたことへの神への感謝が込められています。

太刀振りの起源を正確に示す記録は残っていませんが、村の資料によれば江戸時代中期にはすでに行われていたとされています。その根拠の一つが、文政12(1829)年の年号が入った砂袋。祭礼の際、のぼりが風で揺れないように使われていた重りで、現在も地域で大切に保管されています。

現在は毎年11月3日の祝日に、平八幡神社の祭礼で奉納されるのが恒例です。舞鶴市内には複数の太刀振りが伝わっていますが、平地区の太刀振りは「激しい」のが特徴だと地域の人々は語ります。「他の地域のはあまり見たことないですけど、とにかく激しく太刀を打ち合うのが平のスタイルです。新調した道具がすぐに傷んでしまうほどの迫力こそが、私たちの独自性なんです」。

激しく、かっこよく、そして美しく。神様を喜ばせ、同時に見る者を魅了する。そんなスタイルで平の伝統を守り抜いてきました。


3歳からの「宿命」
がいつしか「誇り」
に変わる

平地区に生まれた子供たちにとって、太刀振りに関わることは、物心ついた頃からの自然な流れでした。「心ついた時にはもう、太刀を握らされていましたね(笑)。3、4歳になると、地域の役員さんや師匠が家に来て『そろそろ出番やぞ』と声をかけられるんです」。

幼少期の思い出を尋ねると、「当時はやらされている感覚が強くて、稽古があるからおもちゃ屋に行けないのが嫌だった」と、思わず笑みがこぼれるような本音も飛び出しました。かつての指導は今よりずっと厳しく、「笛の角度が違うだけで、後ろからゴーンって」。時代の流れから指導のあり方は変わりましたが、当時は文字通りの「叩き上げ」のような世界だったといいます。

しかし、そんな「義務感」で始まった関わりが、ある時期を境に「責任感」へと劇的に変化します。「自分が教える立場になった時、かつて先輩たちが自分に注いでくれた情熱や、守ってきた伝統の重みに気づくんです。今度は自分が次の世代に伝えていかなければならない。そう思った瞬間、この舞が自分たちの誇りになるんです」。

「毎年欠かさず行うこと」
こそが継承に繋がる

平の太刀振りは、メンバーの年齢層によって役割が分かれています。幼児から小学校低学年、高学年、青年、そして40代を中心とした中堅・ベテランに至るまで、地域が総出で一つの奉納を作り上げます。

「基本の『型』は絶対に変えません。それは代々受け継いできた魂ですから。でも、その型をマスターした上で、自分なりに『ここをもう少し溜めてから打とう』とか『もっと高く跳ぼう』といった工夫を加えることは歓迎されます。私たちはそれを『色気』と呼んでいます」。祭りが近づく10月頃になると、ほぼ毎日のように夜8時から集まります。ペアを組む相手と「どうすればもっとかっこよく見えるか」を夜な夜な語り合い、稽古を重ねる。アレンジを加えることで演舞が年々進化していく過程に面白さがあるといいます。

過去には輪番制を試みた際に伝統が途絶えかけた危機もありましたが、それ以降は「毎年欠かさず行うこと」の重要性が再認識されました。「一回やらんようになったら、次もやらんようになる。今見ている子どもたちが大人になった時、次の世代にこの祭りと舞を伝えていってほしい」。毎年続けることが何よりの継承であり、地域が一つになれる機会を守ることだと信じています。

鑑賞ポイント
——伝統の「型」に宿す演者の「色気」

地域の皆さんが「祭りの傷は勲章や」と、話すほど激しい平の太刀振り。「七振り」で構成されており、年齢層別に演目が分かれています。「よりかっこよく」と、それぞれに工夫を凝らした、情熱的なパフォーマンスをご覧ください。

後半になるほど激しくなる「七振り」

子どもによる「露払」にはじまり、「大薙刀」、「柿ぼり」、「小薙刀」、「間抜」、「小太刀」、「大太刀」と、順に七振りが披露されます。後半に進むにつれて、より激しい打ち合いが増えていきます。

子どもの愛らしい打ち合い「露払い」

「露払い」では、大人に介添えされた幼い子どもたちが登場!赤い棒を持って、一生懸命トントンと打ち合う可愛い姿をぜひ応援してあげてください。

演者が加える「色気」を感じて

最大の見どころは、基本の「型」を守りつつも、演者が加える「色気」にあります。「かっこいい」と思う動きを取り入れ、うまく決まった時の気持ちよさは格別!毎年変わるペアとの息を合わせ、演舞全体に緩急をつけることが最も難しいのだとか。


「かっこよさ」と「元気の良さ」
を出し切りたい

「テレビで見るような立派な舞台で披露できることは、これまでにない貴重な経験です」と、並々ならぬ意欲を燃やす平地域の皆さん。この公演を通じて、平地域で行われている素晴らしい伝統行事の存在を多くの人に知ってもらうきっかけにしたいと考えています。
「とにかく『かっこよく舞いたい』。そして、私たちの演舞の『元気の良さ』を伝えて、観客の皆さんに満足してもらうことが一番の目標です」。地域の誇りを胸に、舞台上で火花を散らす魂の打ち合い。その迫力を、ぜひ体感してください。

チケット

ticket
一般

前売1,500円 / 当日2,000

学生(小学生~大学生)

前売1,000円 / 当日1,500

※学生料金のチケットを購入された場合、学生証や生徒手帳など、学生の身分が証明できるものをご持参ください(小学生は不要です)

※未就学児は無料でご入場いただけますが、保護者の膝の上または、お子様を抱いてご覧ください。

チケットは完売致しました。
厚く御礼申し上げます。今回当日券の販売の予定はございませんので、予めご了承下さい。