城陽市
「城陽おかげ踊りを
広める会」

江戸時代の最先端、大ブームとなった「おかげ踊り」

江戸時代、伊勢神宮にお参りするとおかげ(御利益)がいただけるといわれ、「おかげ参り」と呼ばれる伊勢神宮への集団参拝が大流行し、各地で踊られたのが「おかげ踊り」です。全国でブームとなり、地域ごとにお囃子や振りも異なります。城陽市では一時途絶えましたが、後世に伝えたいという思いから復活、広めるための活動が行われています。

城陽市「おかげ踊り」
祈りと喜びを受け継ぐ
城陽の民俗芸能

京都府南部・木津川の恵みを受けた城陽市。梅の香りが季節を知らせ、どこかのどかな時間が流れるこの町に、静かに、そして温かく受け継がれてきた踊りがあります。
「おかげ踊り」——江戸時代、伊勢神宮へ集団で参詣する「おかげ参り」が大流行した際、道中や帰郷後などに喜びや感謝を込めて踊った民俗芸能です。
城陽市では、この踊りが一度途絶えながらも、地域の人々の「残したい」という強い想いによって再び息を吹き返しました。今では、市を代表する民俗芸能として、多くの市民に親しまれています。

工藤会長

何気ない出会いから
生まれた「守りたい」の情熱

「実は私は城陽の出身ではないんです」。そんな意外な一言から語り始めてくださったのは、保存活動を立ち上げたメンバーの一人である会長の工藤さん。
ある日、同市の乾城(いぬいじょう)地区の方から「おかげ踊りを見に来ませんか」と誘われ、何気なく足を運んだ舞台で心を奪われたといいます。
浴衣姿の人々が三味線と太鼓に合わせて舞う——そこには難しい所作よりも、ただ「楽しい」が溢れていました。「見ていてね、思わず笑顔になるんですよ。本当にいい踊りやなって」。

当時の城陽市では、都市化が進みつつあり、代々受け継がれてきた“郷土芸能”と呼べるものは徐々に姿を消していっていました。「唯一残っていたのが、このおかげ踊りなんです。それを知って、何とか未来に繋げていきたいと思うようになりました」と工藤さん。しかしその後、乾城地区で続いていた保存会は活動を継続できなくなり、一度は途絶えてしまいます。

「このまま埋もれさせてはいけない」。その想いから歴史民俗資料館と連携し、文化財としての継承に踏み切ったのが平成23(2011)年。「前身の保存会が残した衣装も扇子も、今も大切に使わせていただいています。受け継ぐということは、ただ踊りを覚えるだけじゃなく、先達の願いや祈りも一緒に背負うことなんだと感じます」。


絵馬が語る200年の記憶と
伝え続ける“ふるさとの心”

そんな城陽市のおかげ踊りの歴史を語るうえで欠かせないのが、市内の水度(みと)神社に奉納されている一枚の絵馬です。その画面の全体の大きさはなんと縦141.7㎝×横171.7㎝!文政13(1830)年、同市寺田地域の7つの村が伊勢参りをし、帰郷後に水度神社で奉納したおかげ踊りの情景を描いたものだと伝えられています。

描かれているのは、およそ200人もの老若男女が一斉に踊る姿。色褪せてはいるものの、そこには江戸時代の人々が伊勢参りの素晴らしさ、道中の喜び、そして一体となって成し遂げた感動があり、京都府の登録文化財にもなっています。「絵馬に描かれているのは、町の歴史であり地域の生活史でもあります。私たちは絵馬と実際の踊り、これをセットで伝えていくのが大事だと思っています。子どもたちに『ふるさとの心』を知ってほしいんです」。

おかげ踊りが描かれている絵馬
おかげ踊りが奉納される水度神社

現在の保存会の会員数は約70名。ベテランが基礎を支え、中堅世代が継承の要となり、新規参加者が少しずつ増えていくという、世代の重なりが生まれています。「新興住宅に住む若い会員も増えていますし、昔から乾城地区で踊っていた人たちも、私たちが続けていることを喜んでくれています。『自分たちができなくなった分、続きを頼むよ』って」。その期待に応えるため、若い世代へ繋ぐための取り組みも積極的に行われています。


若い世代へつなぐ挑戦
——誕生した新たな
「おかげ音頭」

その一つが、城陽おかげ踊りを広める会で創作した「おかげ音頭」。「学校ではテンポの速いダンスが多いですしね。どうしたら子どもたちが入りやすいかなと考えたんです」。東京音頭のリズムに合わせ、伝統的な所作を優しくアレンジしたもので、初めて踊る人でも輪に入りやすいのが特徴です。

「子どもたちと踊ると、場全体が明るくなるんです。大人たちの動きも自然と柔らかくなる。伝統は変わらない部分も必要だけれど、“開く部分”がなければ続きません」と工藤さん。学校との連携も進んでおり、小学校の運動会での採用、クラブ活動での指導、うちわを使った簡易バージョンの導入など、さまざまな工夫が実を結んでいます。地域のとある小学校では、校長先生が民俗文化に関心を持ったことをきっかけに、学校オリジナルの小学校音頭を作り、児童とおかげ踊りが一緒に舞うステージも実現しました。

「先生が楽しんでくれると、子どもはもっと楽しむ。だからまずは先生を巻き込むところからなんです」。踊りの継承は、“技”だけではなく、“人と人の繋がり”ごと次世代へ渡す営みなのだと感じさせられます。

練習風景

鑑賞ポイント
——素朴な動きの奥に宿る
“伊勢への礼”

おかげ踊りは、派手な演出や高度な技術を競う芸能ではありません。しかし一見素朴な動きに見えますが、そこには豊かな精神性と高度な調和があります。ここでは、初めて見る方にも楽しんでいただける“見どころ”をご紹介します。

「おかげさま」を表す所作

右手・左手を差し出し、頭を下げる。これはお伊勢さんに礼を尽くしお辞儀をする姿です。「おかげさま」と言葉で伝える代わりに、踊りの動きが感謝を表しています。

菅笠の角度が生む統一美

菅笠を深くかぶることで顔が見えず、個が溶け合い、隊列の美しさが際立ちます。少しでも乱れると全体の印象が変わるため、角度も重要なポイント!

踊り手とお囃子の“呼吸合わせ”

お囃子は踊り手を見てテンポを調整。踊り手が今、どんな早さを求めているかを汲み取りながら、テンポを合わせているんです。この呼吸合わせがお囃子の真髄!

初めての花道

普段の舞台では使わない花道を今回初めて活用します。花道と後方からの入場後、綺麗な二重の輪になるようにフォーメーションを組めるのか…ご注目ください。


“おかげ”の心を未来へ

城陽市は今、町の景観も働き方も暮らし方も変わりつつあります。そんな時代に、おかげ踊りが地域に残されてきたことは、奇跡にも近いことなのかもしれません。
踊りを続けるためには、健康も、仲間も、練習場所も必要。「でも、情熱があればきっと動かせる」。そう語る保存会の皆さんの言葉には、過去と未来をつなぐ強い覚悟が込められています。
継承は容易ではありません。しかし、踊り手や囃子方一人ひとりの“おかげさま”の気持ちが積み重なれば、文化は必ず次の時代へ渡っていくはず。皆さんもぜひ一度その輪の中へ足を踏み入れてみてください。

おかげ踊りを広める会のみなさん
練習風景

チケット

ticket
一般

前売1,500円 / 当日2,000

学生(小学生~大学生)

前売1,000円 / 当日1,500

※学生料金のチケットを購入された場合、学生証や生徒手帳など、学生の身分が証明できるものをご持参ください(小学生は不要です)

※未就学児は無料でご入場いただけますが、保護者の膝の上または、お子様を抱いてご覧ください。

チケットは完売致しました。
厚く御礼申し上げます。今回当日券の販売の予定はございませんので、予めご了承下さい。